悔やんでも悔やみきれない

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父が酒を飲み始めると空気が暗くなり家族の会話が途切れがちになる。そんな光景を毎晩見せられていたので私は酒を飲まなかった。しかしやっぱり血は争えないもので、父が65歳で自損事故を起こし酒が飲めなくなったのがきっかけで私は30代半ばで酒を飲むようになった。
父の自損事故が酒のせいだったのかどうかは分からない。町内の道路の脇に流れる深い側溝にカローラごと転落し、一か月余り入院。車の中には何本かの酒が入っていたといううわさが流れた。脳挫傷とムチ打ちで76歳で死ぬまで後遺症に苦しんだ。特に最後の5~6年は痛み止めの薬が効かないと言い、許容量を超える薬の服用と、薬が効かないことに対する不満で再び酒に溺れ、とうとう精神科の病院で入退院を繰り返すようになった。丁度時を同じくして私の勤める工場が閉鎖となり浜松の工場まで通わなければならなくなった。とにかくすべてのタイミングが悪く、不幸と言うものは重なるものである。その間、家では退院中の父の異常な行動が昼夜の別なく繰り返され、母も私も落ち着いて寝られない日々だった。こんな状況がいつまで続くのか分からない不安と睡眠不足と疲労の蓄積で絶望感に苛まれていた。この時期の数年間の記憶がプツリプツリと切れ切れになり、途切れた記憶の前後も曖昧のまま今に至っている。
時々父母が夢に出てくる。数年前までは父は事故の後遺症、母も癌に侵され余命のないままの状況が夢の中でも続いていたのが、今では60過ぎた私の父母として二人とも元気で暮らしている。そして私は現役で製材とか塗装とか、職工として工場で働いている。76歳の元気な父と68歳の元気な母と62歳の現役の私が夢の中で生活している。
最近出てくる父と母は元気で決して悪い夢ではないが、できれば一昨日の夢の続きを見たいと思っている。どうしてもブリカマの塩焼きを喰いたかった。悔やんでも悔やみきれない。


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