聞こえたんだけど

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 久しぶりに七股池を散歩。季節外れに昼間が暑い。桜もコナラもすっかり緑は褪せ、すでに殆ど葉を散らせたものもある。集会所脇の河津桜に至っては先月末には丸坊主になっていた。
 ちょっと肌寒いが気持ちのいい朝だった。陽を受けて輝く七股池だが誰もいない。いきなり叫び声のような、軋むような、判然しないものすごい反響を伴った一撃が響いた。びっくりして辺りを見回すがどこから聞こえたものなのかわからない。その直後に森閑となった。鳥や虫の声とか、風の音とか、雑木林のざわめきとか、何かしら辺りの音が聞こえてもよさそうなものだが突然の謎の音に驚かされ高鳴る動悸と体内から発するノイズが鼓膜の内側に響くだけで、耳の外からは何も聞こえない。誰もいないし何も動かない七股池に朝陽が射し込んでいる。
 なんだか薄気味悪いなと思った。そういえば、もしかしたら、今聴いた謎の音は聞いたと思い込んでいるだけで、実は何も聞いていないのかもしれない。元々そんな音などしなかったのかもしれないと思われ始めた。 
 そうするとあの音は、自分の意識か無意識か判らないが、或いは記憶のどこからか出てきたものかもしれないと、実際に聞いたか聞かなかったか、よりもこちらの方が気になりだした。 
 そしてまた辺りを見回してみると、秋風が吹き抜け、雑木林がざわめき、足元の草むらで虫が鳴いている。杉山駅を出発する渥美線の警笛が遠く聞こえる、いつもの七股池に戻っていた。
 あの大音響とその直後の森閑とした時間は何だったんだろう。白日夢や白昼夢は聞くが白朝夢は聞いた事がない。朝っぱらから散歩しながら寝呆けていたのだろうか。だとしても、あんなに鮮明なまぼろしを見るなんてなんなんだ。


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