光のどけき

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いつもより少し遅く目が覚めた。
雨上がりの朝。暖かい。ジャージ姿のままトイレに行った。やっぱり暖かい。便座に腰掛け、なかなか出ない御叱呼が出るのを待っているうちに寒くなってきた。「温かい」という言い方は、間違いだったかもしれん。「寒くはない」という風に思うべきだった。暖かくても寒くなくても、それはどっちでもいい事だ。くだらないことを考えた。
なぜ年寄りの御叱呼は長いのか、年寄りがトイレで倒れる話をよく聞く。和式便器が全盛の時代は特に多かった。しゃがんだ姿勢で踏ん張るのが良くない。血圧が異常に高くなり、気温の低いことも手伝って、脳卒中で倒れるという話をよく聞いたものだ。
しかし、それだけではないかもしれない。
洋式トイレに変わった今、雲固を踏ん張って倒れるのは減ったかもしれないが、御叱呼がなかなか出ないまま、寒いトイレで長時間、凍える思いでケツ丸出しで座っていなければならない。凍死するものも少なからずいるに違いない。
と、そこまで考えているところでようやく御叱呼が出始めた。長い道のりだった。冷たい便座に座り、御叱呼が出るまでにいったい何分かかったことだろう。冬場の明け方のトイレは決死の覚悟をもって実行しなければならない。
ようやく出たことは出たが、ほんの申し訳程度の量しか出なかったことに不満が残る。あれだけ寒い思いをして、これだけしか出ないのか。労多くして実り少なしとはこのことだ。大きな落胆に包まれる。落胆は次第に怒りへと変わる。憤懣(ふんまん)やるかたないままズボンを穿きフリースジャケットを羽織って気分転換に七股池の散歩でもするかと、らっきょをがりがりかじり、茶碗を蹴飛ばしつつ気合を入れ、玄関を出ると、野鳥の声が、朝陽に輝く七股池にこだまする。
そして対岸の遊歩道からオッサンのクシャミ連発もこだまする。つられて私もクシャミ連発が始まってしまった。多少の湿気の残るそよ風に花粉が飛んでいるとは思えないのだが。

久方の 光のどけき春の日に しづ心なく鼻の垂るらむ。

という名句もあるし・・・
















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